SGLT2阻害薬と心不全
心不全に対する有効性が示されたSGLT2阻害薬には
・empagliflozin(ジャディアンス®)
・canagliflozin(カナグル®)
・dapagliflozin(フォシーガ®)
がある。
ジャディアンス®は2015年のEMPA-REG OUTCOME試験で最初に注目を集め、血糖の低下だけでは説明できない心不全入院リスクの低下効果が示された。
カナグル®は2018年のCANVAS試験で、フォシーガ®はDAPA-HF試験で心不全に対する効果が見られた。
このうち2022年4月の時点で日本の保険に通っているのはフォシーガ®とジャディアンス®である。
ジャディアンス®はHFpEFとHFrEF両方に適応があるがフォシーガ®はHFrEFのみ適応である。
SGLT2阻害薬が心不全に有効である機序については諸説ある。SGLT2阻害薬がDMに有効な機序は尿細管からの糖の再吸収を抑制することであるが、グルコースと共輸送で再吸収されるNaの排泄も増えるため、浸透圧利尿とNa利尿による心負荷軽減が考えられる。
その他にも心筋にあるNa/Hに直接作用することによる心筋収縮改善作用、ケトン体増加に伴う心筋ATP産生増加による心筋効率改善作用、尿細管の酸化ストレスを抑制することでエリスロポエチン産生細胞(REP細胞)を保護する作用、ミトコンドリア機能の改善などが提唱されている。
参考文献
https://www.yumino-medical.com/yumino/2020/03/001152.html
http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/news_letter/2020_12.pdf
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1504720